「空振り」 水面から勢いよくお前がはねる。 私はその場所に向かって思いっきり竿を振る。 小さな水音と共に水面下に揺れながら落ちてゆくきらきら光る芸術作品。 巧みにテクニックを駆使して微妙な動きを加えると、 その芸術作品は、生きた魚に変身する。 リールをゆっくりと巻き取ると竿の先には芸術作品が戻ってくる。 お前には、この芸術が理解できないのか、 それとも、私が魚に変身させられなかったのか… 藤次郎正秀